多様かつ多大な影響を受けた子どもたちが、これから心身ともに健やかに育つためには、子どもたちに実際に起きていることを把握し『子どもたちの健康とは何か』、『子どもを育む環境はどのようなものか』を、社会に提示し実現していかなくてはなりません。
将来の日本を背負う子どもたちの数がますます減るこの状況下で日本が安定した国になるためにも、小児科医は子どもに寄り添い、より良い子どもたちの成育環境を創りあげなくてはなりません。
震災により浮き上がった子どもたちの抱える問題の多くは、実は日本の全国の子どもたちと共通です。
もし福島での取組によって、少しでも福島の子どもたちが元気になれば、いずれ全国の子どもたちも元気になるきっかけが生まれると思います。
子どもは日々成長と発達の連続の中で生きています。一分一秒が将来の体をつくり豊かな心を育みます。
そのためには、発育発達を促す適切な刺激が、適切な時期に与えられなければなりません。例えば、三つ子の魂百までと言うように、3歳までにたっぷりと母と周りの大人たちの愛情が注がれ、幼少期の子どもたちには、思いっきり体を沢山動かす機会を与えなくてはなりません。
子どもが成長発達するための時間は、子どもたちのものです。私たち大人は、その時間をいかに作り、質の高い刺激を受けることができるように環境を整える必要があります。二度と戻ってこない時間を大切に。
少子化が叫ばれる中、子どもたちに対する国家予算は高齢者と比べると10分の1とも言われています。
”子育て支援”の策はいくつか提案され、そして実施に移されているようですが、肝心の”子育ち支援”、つまり子どもたち自身が健やかに育つための直接的な取組は少なく、また不十分であると思います。
例えば、子どもたちが自由に遊び回れる場所はあなたの身近にあるでしょうか?