ご挨拶

震災から6年を迎えて
~PEP Kids Koriyama開設5周年の御礼とこれから~

 未曾有の大災害と言われた東日本大震災から早くも6年が経ちました。
震災直後の大混乱と、放射線被ばくへの恐怖の中を、見えないゴールに向かってただひたすらに走りまくった時間のような気がします。
その間沢山の出来事がありましたが、今日こうして6年を無事に迎えられたのは、多くの皆様のお支えとご指導の賜と心より感謝申しあげます。

 震災の年の12月23日に開設されたPEP Kids Koriyamaも5歳になりました。
ヨークベニマル大髙善興会長をはじめ、行政や地元企業の方々の、まさに地域の親心によって出来た施設に、これまで約160万人の親子が遊びに来ました。
地方にある子ども向けの施設に、これだけの人数が集まる所は全国を探しても類を見ないことでしょう。
PEP Kids Koriyamaでは、今の日本が失ってしまった子ども本来の元気な姿を見る事ができます。
震災がきっかけとはいえ、「子どもには遊びが必要である」という当たり前のことに気付かされるきっかけを、全国に投げかけることができたのではないかと自負しております。

 一方、昭和23年に創立した市内に開業しております医療法人仁寿会菊池医院にも、この6年の間に大きな変化がありました。
創立以来、今では全国的にも極めて珍しい入院診療が行える有床診療所として地域医療に取り組んでまいりましたが、震災に伴う急激な少子化と小児を取りまく疾患構造や医療技術の進歩のためか、入院患者数が激減し平成26年に入院病床を閉鎖しました。
また、創始者である祖母の菊池壽子が平成25年に101歳で、また2代目である父の菊池辰夫が平成27年に75歳でそれぞれ他界し、私は平成26年から院長職を、平成27年から医療法人理事長職を担うことになりました。

 平成22年春から郡山での生活をスタートした私にとって、本当に激動の7年間でした。
地域の小児科開業医が担う役割は何であるのか、自分で何ができるのかもわからない中、福島の復興もまだまだ道半ばで、急激な少子化の進行、社会情勢の大きな変化の荒波にただのまれているような印象です。
しかし、診療所を受診する子どもの肥満傾向の悪化は深刻であるし、体力・運動能力も震災以前には戻らず、震災を契機に心の安定が大きく揺らいでしまった子どもたちや保護者を数多く目にすると、何かせざるを得ない心境になります。

 福島だからこそ気付くことができた子どもたちを健やかに育むための環境を整備することの重要性は、おそらく次の時代の日本の子どもたちの生きる環境を創造する上での大きなヒントになり得ると確信しています。
教育・保育の現場だけでなく、行政、地域、医療関係者、そして保護者が一丸となって、その地域の子どもを育む社会の創生を、まずは、この福島で実現し発信することが求められていると思います。
一小児科医ができる事はごくわずかではありますが、同じ心意気をもつ“仲間”と共に、先代の思いを引き継ぎながら今後も邁進していく所存です。

 東北の春はもう少し先ですが、季節の変わり目ゆえ、体調など崩されませんように、末筆ながら皆様のご健康をお祈りいたしております。

平成29年3月11日
医療法人仁寿会 菊池医院 院長
認定NPO法人 郡山ペップ子育てネットワーク 理事長
菊池信太郎